ストローマンインプラントとは?特徴・安全性・他メーカーとの違いを歯科医師が解説
インプラント治療は、失った歯の根の代わりに人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。
数あるメーカーの中でも、ストローマンインプラントは世界的に高い信頼を得ており、多くの歯科医師が選択しています。
本記事では、その特徴・安全性・他メーカーとの違いをわかりやすく解説します。
世界シェアNo.1!ストローマンインプラントの概要

ストローマン社はスイスのバーゼルに本社を置く、1954年創業の医療機器メーカーです。
世界100カ国以上で使用されており、歯科インプラント分野で世界トップシェアを誇ります。
長年の研究開発と豊富な臨床データを背景に、品質と信頼性に優れた製品を提供。
さらに教育プログラムやサポート体制も整っており、世界中の歯科医師に支持されています。
ストローマンインプラントが歯科医師から選ばれる5つの理由

ストローマンインプラントは、世界中の多くの歯科医療従事者から支持されています。
その理由は、単にブランド力が高いからというだけではありません。
長期的な安定性を示す豊富な科学的根拠や、治療期間の短縮に貢献する独自の技術、精密な設計による耐久性など、治療の成功率を高めるための様々な裏付けが存在します。
ここでは、歯科の専門家がストローマンを選ぶ具体的な理由を5つの観点から解説します。
理由1:長期的な安定性を示す豊富な臨床データ
ストローマンインプラントが信頼される大きな理由の一つは、その長期的な安定性を示す豊富な臨床データにあります。
長年にわたり、数多くの学術論文や研究報告によってその性能が裏付けられてきました。
特に、治療後10年間のインプラントの生存率は97%以上という高い数値が報告されており、これはインプラントが長期にわたって安定して機能することを示しています。
このような科学的根拠に基づいた実績は、治療を行う歯科医師にとって大きな安心材料となり、患者に質の高い治療を提供するための重要な要素です。
単に製品を販売するだけでなく、その後の経過までを追跡し、データを公開し続ける姿勢が、世界的な信頼につながっています。
理由2:骨との結合を早める独自の表面加工技術
ストローマンインプラントの大きな特徴として、骨との結合を促進する独自の表面加工技術が挙げられます。
代表的な技術であるSLA(サンドブラスト・ラージグリット・酸処理)は、インプラントの表面に微細な凹凸を作ることで、骨の細胞が付着しやすくなるよう設計されています。
この加工により、インプラントと顎の骨が強固に結合する「オッセオインテグレーション」が効率的に進みます。
理由3:治療期間の短縮が期待できる
ストローマンインプラントは、独自の表面処理技術によって治療期間の短縮が期待できます。
特に「SLActive」という親水性の高い表面を持つインプラントは、血液とのなじみが良く、骨の再生を促す細胞を素早く引き寄せる効果があります。
これにより、インプラントを埋め込んでから骨と結合するまでの治癒期間が、従来のSLA表面のインプラントと比較して半分程度の3〜4週間に短縮されるというデータがあります。
治癒期間が短くなることで、最終的な人工歯を装着するまでのトータルの治療期間も短くなり、患者の身体的、精神的な負担を軽減することにつながります。
早期に安定した咀嚼機能を取り戻したいと考える患者にとって、大きな利点となります。
理由4:精密な設計による高い耐久性
ストローマンインプラントは、スイスの精密機械技術を応用した設計により、非常に高い耐久性を実現しています。
インプラントの素材には、生体親和性が高く強度にも優れた純チタンや、チタンにジルコニウムを配合した合金「ロキソリッド」が使用されています。
このロキソリッドは純チタンよりも強度が高いため、インプラントを細く設計でき、骨の量が少ない症例にも対応しやすくなります。
また、インプラント本体と土台(アバットメント)をつなぐ部分の構造も精密に作られており、長期間使用してもネジの緩みや破損が起こりにくいのが特徴です。
この堅牢な設計が、インプラントの長期的な安定使用を支える重要な要素となっています。
理由5:世界中で治療を受けられる安心のサポート体制
ストローマンは世界100カ国以上で製品が供給されているグローバル企業であるため、非常に手厚いサポート体制が整っています。
例えば、転勤や引っ越しなどで国内、あるいは海外に移住した場合でも、多くの歯科医院でストローマンインプラントの取り扱いがあるため、継続的なメンテナンスや万が一のトラブルへの対応を受けやすいという利点があります。
また、メーカーによる長期保証制度も充実しており、適切な使用方法のもとで問題が生じた場合には保証が適用されることがあります。
世界中で共通の規格とサポートを受けられる安心感は、患者が長期にわたってインプラントを使い続ける上で大きなメリットです。
【症例別】ストローマンインプラントの代表的な種類

患者の骨の状態や審美的なニーズに合わせ、複数のラインナップが用意されています。
ティッシュレベル(TL):骨量が少ない場合でも使用可能なタイプ
ティッシュレベルインプラントは、インプラントの土台が歯肉の上に出るもので、お手入れがしやすく、インプラント周囲炎を予防しやすいことが特徴です。
このタイプは、インプラント体を埋入すると同時に土台を一緒に装着する「1回法」、つまり抜歯とインプラント埋入を1回の外科手術で同時に行う抜歯即時埋入に適しています。
手術時にインプラントの一部が歯茎の上に露出した状態になるため、治癒後に再度歯茎を切開する必要がありません。
主に奥歯など、審美性よりも強度やシンプルな手技が求められる基本的な症例で選択されることが多いインプラントです。
ボーンレベル(BL):審美性が重要な前歯などに適したタイプ
ボーンレベルインプラントは、その名の通り、インプラントの上端が顎の骨の高さ(ボーンレベル)に埋入されるように設計されています。
インプラントの土台が骨の中に埋まるため、口を開けたり笑ったりした時に見える、前歯などによく使用されます。
このタイプは顎の骨にインプラント体を埋入し、1回目の手術で歯肉を縫合して骨と結合するのを待った後、2回目の手術で歯肉を開いて土台を装着します。
連結部分が骨の中に位置するため、歯茎のラインを自然に形成しやすいのが大きな特徴です。
歯茎の状態に合わせて土台の種類を柔軟に選択できるため、天然の歯と見分けがつきにくい、自然で美しい仕上がりを実現することができます。
ボーンレベルテーパード(BLT):骨が柔らかいケースにも対応できるタイプ
ボーンレベルテーパードインプラントは、ボーンレベルインプラントの審美的なメリットを持ちながら、インプラント体の形状が先端に向かって細くなる「テーパー形状」を採用しているのが特徴です。
この形状により、インプラントを骨に埋入する際に、周囲の骨を適度に圧縮しながらねじ込むことができ、初期固定(埋入直後の安定性)を高める効果があります。
特に、日本人に多いとされる骨質の柔らかいケースや抜歯即時埋入といった初期固定を得にくい症例において優れた安定性を発揮します。
多様な骨の状態に対応できる汎用性の高さから、多くの臨床現場で選ばれています。
BLX:抜歯してすぐに埋入したい場合に適した最新モデル
BLXは、ストローマンの最新世代のインプラントシステムで、特に高い初期固定力が求められる症例に対応できるよう設計されています。
アグレッシブなスレッドデザインとテーパー形状のインプラント体が特徴で、抜歯した直後の柔らかい骨や、骨の状態が良くない場合でも、強力な初期固定を得ることが可能です。
これにより、抜歯即時埋入や即時荷重といった、治療期間を大幅に短縮できる治療法の選択肢が広がります。
インプラント体と土台の連結にはトルク伝達に優れた設計が採用されており、スクリューで確実に固定できるため、安定性も非常に高いモデルです。
どのインプラントが自分に向いている?

ストローマンインプラントには複数の種類があり、どれも優れた性能を持っています。
しかし、 「どのインプラントを選ぶべきか」 は、患者さまのお口の状態や治療の希望によって変わります。
ここでは、選ぶ際のポイントをわかりやすく解説します。
① 骨の量・硬さで選ぶ
インプラント治療では、まず「骨の厚み」と「骨質」が重要になります。
- 骨量が少ない、骨が薄い → ティッシュレベル(TL) が適応しやすい
- 骨が柔らかい → BLT や BLX が初期固定を得やすい
- 抜歯直後に埋めたい → BLT または BLX が有利
骨の状態はCT撮影で正確に判断できるため、診断が非常に大切です。
② 審美性の優先度で選ぶ
前歯など「見た目の美しさ」が重要な部位は、ボーンレベル(BL)・ボーンレベルテーパード(BLT) が最適です。
インプラントの連結部が骨の中に収まるため、歯ぐきの立ち上がりが自然に形成され、天然歯に近い自然な仕上がりが期待できます。
一方、奥歯や見えにくい部分は審美性よりもシンプルで清掃しやすいティッシュレベル(TL) が選ばれることが多くあります。
③ 治療期間の希望で選ぶ
「できるだけ早く噛めるようになりたい」という方には、BLXやBLTを使用した即時埋入・即時荷重という治療法が適用できるケースがあります。
ただし、すべての症例に適用できるわけではなく、骨の状態や噛み合わせの力など、複数の条件が揃う必要があります。
④ 清掃性・メンテナンスのしやすさで選ぶ
長期的なトラブルの予防には、日々のお手入れが不可欠です。
- 清掃しやすさ重視 → ティッシュレベル(TL)
- 審美性と機能の両立 → ボーンレベル(BL)/BLT
特にTLは、インプラントと歯ぐきの境目が管理しやすいため、インプラント周囲炎の予防に有利という利点があります。
他メーカーとの違い
① 骨との結合スピード
ストローマンの「SLActive」は高い親水性により血液を素早く引き寄せ、骨形成を促進。
治癒期間は他社製品より短いとされています。
② 臨床データの豊富さ
ストローマンは大学や研究機関と連携し、数十年にわたる臨床データを蓄積。
新興メーカーと比較するとエビデンス量が圧倒的です。
③ 材質と強度
独自開発の「ロキソリッド」は純チタンより35%強度が高く、骨幅の狭い症例にも対応。
また、チタン系素材のため金属アレルギーの心配が非常に少ないのも安心です。
ストローマンインプラントの注意点
費用がやや高い
自由診療のため医院ごとに異なりますが、1本あたり35〜55万円が相場です。
ただし、長期保証・世界的サポートを含めた「安心への投資」とも言えます。
取り扱い医院が限られる
すべての医院で扱っているわけではありません。ストローマンの器具や技術講習を受けた歯科医院のみが導入可能です。希望する場合は、事前に医院へ確認しましょう。
よくある質問
Q. 治療期間はどれくらい?
骨の状態によりますが、全体で3〜10ヶ月程度が目安。
SLActiveインプラントを使えば、骨結合期間を3〜4週間に短縮できる場合もあります。
Q. 寿命はどのくらい?
適切にケアを行えば10年以上使用可能。
10年後の生存率は97%以上とされており、定期的なメンテナンスが長持ちの鍵です。
Q. 手術の痛みはありますか?
局所麻酔を使用するため手術中の痛みはほとんどなし。
術後の腫れや痛みも、鎮痛剤でコントロールできる範囲です。
まとめ
ストローマンインプラントは、
- 世界No.1のシェア
- 60年以上の歴史
- 豊富なエビデンスと最新技術
を兼ね備えた、信頼性の高いインプラントシステムです。
費用はやや高めですが、その分、耐久性・安全性・グローバルサポートが充実しており、「長く安心して使いたい」と考える方に最適な選択といえます。
最終的には、口腔内の状態や希望に合わせて歯科医師と相談し、自分にとって最も安心できる治療法を選びましょう。